君の膵臓をたべたい

感想(ネタバレ含む)

昨日公開されたアニメ映画版をお出かけついでに観てきました。

原作は読了済み。実写映画版は未視聴。

 

結果としては原作の方が好きですね。

私がこの作品で好きな部分は彼女が退院したと思ったら通り魔に刺されてしまうというエピソードです。

病気で死ぬことが運命づけられている人は病気で死ぬまでは死なないという思い込みというか、お約束を裏切って特に関係なく通り魔で死ぬ。

一応、近くで通り魔事件が云々というわりと露骨な伏線はあるものの、通り魔の正体が元彼だとかなんだとかの必然性は特になしという理不尽さ。

だから、死ぬまでにやりたいことがあるならやるべきというのは病気の人でも健康な人でも同じだし、やりたいことがあるけどやらないという選択に健康な人と病気の人の間で差はないのだ。

というようなショックを原作の通り魔ニュースを読んだあたりで受けたのですが、話はそこで終わらずにヒロインの日記を読んでヒロインの思い、それに対する主人公の思いの吐露、更に1年後の後日談シーンへと続きます。この辺はありがち話すぎて悪くはないけれど特に印象には残りませんでした。泣き崩れるシーンのテキストは失笑でしたし。

作者のメッセージは「人間関係大事だよ」だったのかもしれませんが、私にとっては「人は寿命に関係なく理不尽に死ぬ」ということでした。それで良かったのです、原作=小説では。

しかし、映画というか動画作品になると話は自分の感情の起伏に関係なく、製作者の思惑通りのペースで流れます。通り魔事件ニュースは衝撃シーンではありますが、時間配分的にはわずかで、日記を読むシーンの方は突然のメルヘン演出や音楽で時間をたっぷりかけて語られます。うん、興味ないね。

 

ということで、世間一般の評価がどうなるのかはわかりませんが、個人的には楽しめませんでした。